遺言によってできること(後編)

2. 遺産相続以外の財産処分に関すること

2-1 第三者への遺贈

被相続人が法定相続人以外の方に遺産を与えたいと考えている場合には、遺言書で、その方に遺産を遺贈するという方法があります。たとえば、法定相続人ではないけれども、一番かわいがっている遠い親戚などに遺産を与えたいという場合や、高齢となった自分の身の回りの世話をしてくれたホームヘルパーの方に遺産を譲りたいという場合です。

 

ただし、兄弟姉妹以外の法定相続人がいる場合には、彼らの遺留分を奪う割合の遺贈は、遺留分減殺請求されてしまう可能性があることに注意してください。

 

2-2. 一般財団法人の設立

遺言により、一般財団法人を設立することができます。たとえば、美術館を運営する一般財団法人を設立する場合などです。

 

遺言書に一般財団法人の設立が定められている場合には、遺言の内容を実現するために指定される遺言執行者や設立時の理事などが、設立に必要な手続きを行います。

 

2-3 信託の設定

遺産を信託銀行や信頼できる家族などに管理・運用してもらうため(この管理・運用する者を受託者といいます。)、信託法という法律に基づき、遺産を信託財産と呼ばれる財産にすることができます。そして、その信託財産の管理・運用から得られる利益を、遺言者が指定する方(受益者といいます。)に与える信託という仕組みを利用することができます。ただし、信託の設定は、非常に専門的な内容であるため、専門家に依頼することが必要でしょう。信頼できる家族などに遺産を託したいとお考えの場合には、家族信託と呼ばれる信託の設定が可能ですから、弁護士にご相談ください。

 

3. 身分関係に関すること

3-1 認知

被相続人に、法律上の婚姻関係にない相手との間に子がいる場合には、遺言書の中でその子を自分の子であることを認めること(これを認知といいます。)ができます。遺言によって認知することにより、その子は相続人となりますから、遺産を相続させることができるようになります。ただし、相続が起こったとき(要するに被相続人が死亡したとき)に、子が胎児であるか、あるいは成人である場合には、母の同意や本人の同意が必要となることに注意が必要です。

 

3-2 未成年後見人の指定・未成年後見監督人の指定

被相続人の子が未成年であり、被相続人の死亡によってその子の親権者がいなくなってしまうことが予想される場合には(被相続人の配偶者も既に死亡しているなど)、遺言書で第三者を未成年後見人として指定することによって、未成年の子の身上看護と財産管理を委ねることができます。

 

また、未成年後見人による不正行為により、未成年の子の福祉に支障が生じないように、未成年後見人を監視するための未成年後見監督人を指定することもできます。

 

4. 遺言の執行に関すること

4-1 遺言執行者の指定

相続によって、たとえば被相続人の名義から、相続人や受遺者の名義へ、預貯金の口座名義などの名義変更が必要となる場合には、そのための手続きをする必要があります。しかし、預貯金の名義変更などの手続きには、共同相続人全員に係る書類を集める必要があるなど、煩雑な作業が多く、非常に大変です。そこで、被相続人は、このような手続きを行ってくれる者、つまり遺言書の内容を実現してくれる者を、遺言書の中で指定することができます(遺言執行者といいます。)。遺産を相続する相続人の負担を軽減するためには、弁護士を遺言執行者に指定しておくと、手続きがスムーズに進みますから、遺言書を作成する際には、弁護士にご相談ください。

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